この記事でわかること
生成AIを使う前に、仕事を棚卸しする考え方 ・労力がかかっている作業の見つけ方 ・人がやることとAIに手伝わせることの分け方
生成AIのサービス紹介や広告では、「資料が簡単に作れる」「文章がすぐに整う」といった使い方が紹介されることがあります。
実際に使ってみると、資料のたたき台や文章案が短い時間で出てきて、その速さに驚くこともあります。ただし、それだけで仕事全体が軽くなるとは限りません。
資料の一部は早く作れても、確認や修正に時間がかかることがあります。また、本当に負担が大きかったのは、資料を作ることではなく、前回資料を探すことや社内確認だった、という場合もあります。
生成AIを使う前に大切なのは、AIの機能を調べることだけではありません。まずは自分の1日の仕事を棚卸しして、どの作業に労力がかかっているのかを知ることです。
まず、1日の作業を書き出す
最初に、自分の1日の仕事を作業ごとに書き出します。この段階では、AIに使えそうかどうかは考えなくて大丈夫です。
たとえば、次のようなものです。
- メールを確認する ・問い合わせに返信する ・会議に出る ・会議後のメモをまとめる ・資料を作る ・前回の資料を探す ・上司に報告する内容をまとめる ・数字を確認する ・作業手順を説明する
書き出してみると、「忙しい」と感じていた仕事の中身が見えてきます。何に時間を使っているのか。どの作業が毎回負担になっているのか。そこが見えると、生成AIを使う場所も選びやすくなります。
労力がかかっている作業を選ぶ
次に、書き出した作業の中から、労力がかかっているものを選びます。見るポイントは、時間だけではありません。
- 時間がかかる ・毎回気が重い ・始めるまでに時間がかかる ・何度も確認や修正が発生する ・毎日、または毎週くり返している
たとえば、資料作成では、文章を書く時間よりも、必要な情報を探す時間のほうが長いことがあります。メール対応でも、本文を書くことより、相手に失礼のない言い方を考えるほうに時間がかかることがあります。
その場合、AIを使う場所は「資料を作る」「メールを書く」だけではありません。情報を整理する、言い方を整える、といった部分にも使いどころがあります。
インパクトが大きそうな順に並べる
労力がかかっている作業がいくつか見つかったら、次は順位をつけます。見るポイントは3つです。
- 時間がかかっている ・くり返し発生している ・少し短くなるだけでも助かる
たとえば、毎日1時間かかっている作業を30分にできれば、1日では30分の短縮でも、1週間、1か月で見ると大きな差になります。くり返し発生する作業ほど、AIで省力化できたときの効果は積み上がりやすくなります。
まずは、効果が大きそうな作業から順に並べてみます。その中で一番上にある作業が、最初にAIを試す候補になります。
人がやることと、AIに手伝わせることを分ける
試す作業を決めたら、その中で「人がやること」と「AIに任せる部分」を分けます。最初から作業全体をAIに任せる必要はありません。
まずは、次のような部分から試すと現実的です。
- 文章や資料のたたき台を作る ・長い内容を整理する ・説明の順番を整える ・相手に合わせて言い方を直す ・抜け漏れがないか確認する ・次回も使える形にまとめる
一方で、最後に出すかどうかの判断、数字や固有名詞の確認、相手との関係を踏まえた判断は、人が見る必要があります。AIは、人が判断する前の準備を助けるものとして使うと、仕事に取り入れやすくなります。
いちばん上の作業から試して、時間を測る
順位をつけたら、いちばん上の作業からAIを試します。そのときは、使う前後で時間を測っておくと効果が見えやすくなります。
AIを使う前は何分かかっていたか。AIを使った後は何分になったか。確認や修正を含めても短くなったか。
ざっくりと、10分、20分、30分といった単位で構いません。「なんとなく便利だった」だけでは、仕事が本当に軽くなったのか分かりにくいものです。時間を比べると、効果が出ている作業と、そうでもない作業が見えやすくなります。
もし確認や修正が増えて、かえって時間がかかった場合は、頼み方を変えるか、別の作業で試してみます。最初は、社外秘や個人情報を含まない作業から始めると安心です。AIが出した内容も、そのまま使わず、人が確認する前提にしておきます。
効果が見えたら、次の作業にも広げる
ひとつの作業で効果が見えたら、最初に並べたリストの次の作業でも試してみます。
- 次にインパクトが大きそうな作業を選ぶ ・人がやることとAIに手伝わせることを分ける ・AIを使う前後で時間を測る ・効果があれば、さらに次の作業へ進む
この流れを続けると、生成AIの使いどころが少しずつ増えていきます。最初から大きく変える必要はありません。日々の作業の中で、確実に負担を減らせる場所を見つけることが大切です。
まとめ
生成AIを何に使えばよいか迷うときは、まず自分の仕事を棚卸ししてみることが大切です。
どの作業に労力がかかっているのか。その中で、AIに手伝わせると負担を減らせそうな部分はどこか。使う前後で、どれくらい時間が変わるのか。この3つを見るだけでも、AIの使いどころは見つけやすくなります。
生成AIは、驚いて終わりにするものではなく、日々の仕事を少し軽くするために使いたい道具です。まずは、いちばん労力がかかっている作業をひとつ選び、下書き、整理、確認のどれかから試してみる。その小さな使い方から、自分の仕事に合った生成AIの使いどころが見えてきます。

