この記事でわかること
- AIに広報業務を任せたときに起きやすいトラブルがわかる
- 投稿前に自分でチェックできるポイントがわかる
- 「気軽に使う」と「無防備に使う」の境界線がわかる
AIに投稿文の下書きを書いてもらうと、これまで時間がかかっていた作業が、ぐっと短く済むようになります。画像生成も覚えれば、外注に頼んでいたバナーが社内で作れます。便利な一方で、兼任で広報を担当している人がひとりで判断する場面も増えてきました。
「AIで作ったものを、どこまで信じて投稿していいのか」
この線引きがわからないまま使い続けると、思わぬところでつまずきます。今回は、投稿ボタンを押す前に立ち止まっておきたい4つのポイントをお伝えします。
AIが書いた文章をそのまま投稿に回さない
AIは、それらしい文章をすらすらと書いてくれます。ただ、その中には事実と違う情報が混ざっていることがあります。AIがもっともらしく書いてしまう代表例は、こんな情報です。
- 創業年
- 過去の実績
- 地名
- 日付
- 人名
特に注意したいのが「自社の説明」です。プロンプトで自社の概要を入力すると、AIが補足的に「御社は1985年創業の老舗で〜」のように、創業年を勝手に作って書き加えてくることがあります。書き手が読み流すと、そのままSNSに投稿されてしまいます。
防ぐ方法はシンプルです。AIが書いた文章の中で、数字・固有名詞・日付が出てきたら、必ず自社の資料で照らし合わせる。これだけで多くの誤投稿が防げます。AIに「この情報は確かですか」と聞いても、自信満々に間違った答えを返してくることがあるので、AIに事実確認をさせるのは避けたほうが安心です。
AIが作った画像は細部まで目で確認する
画像生成AIは年々精度が上がっていますが、それでも細部にズレが残ることがあります。指の本数が6本になっていたり、文字が読めない記号になっていたり、小物の形が物理的におかしかったり。ぱっと見では成立していても、拡大すると違和感が出てきます。
SNSの投稿は、画像をタップして拡大する人が一定数います。違和感に気づいた人がそれをスクリーンショットで共有すると、あっという間に広がります。「AIで作っているのにチェックもしていない」という印象を与えてしまうと、内容そのものよりも姿勢への不信が残ります。
確認の方法は、投稿前に画像を最大まで拡大してひと通り見るだけで十分です。具体的には、こんな箇所を順番にチェックします。
- 手元(指の本数や形)
- 文字(読める文字になっているか)
- 小物の形
- 背景の柄
- 影の方向
気になる箇所があれば、その部分だけ作り直すか、Canva等の画像編集ソフトで修正します。慣れれば数分で終わります。
他社のロゴや作風に似ていないかを意識する
画像生成AIは、世の中にあるたくさんのデザインを学習しています。そのため、何も指定しなくても、既存のロゴや作風に似たものが出てくることがあります。意図して真似していなくても、似てしまうのです。
特に気をつけたいのが、「アイコン」「ロゴ風」「マスコットキャラクター」といったプロンプトを使うときです。出てきた画像が、たまたま有名なブランドのロゴに似ていることがあります。また、「人気アニメ風」「あのゲームのような雰囲気で」といった指定も避けたほうが無難です。
完璧に判断するのは難しいですが、出てきた画像を見て「どこかで見たことがある気がする」と感じたら、そのまま使わずに作り直す。この一呼吸が、後々のトラブルを大きく減らします。
自社の立場や読み手の感じ方とズレていないか
AIで作ったコンテンツが技術的に問題なくても、自社の立場や姿勢とズレていると、読み手は敏感に反応します。
たとえば、職人の手仕事を売りにしてきた会社が、AIで作った人物イラストを使ってチラシを作ると、長年のお客さんから「あれ、いつもと違う」と感じられることがあります。手書きの良さを伝えてきた商売が、AIで量産した文章でSNSを更新していると、トーンの違いが伝わってしまいます。
AIを使うこと自体が悪いのではありません。大事なのは、自社が長年大切にしてきたことと、AIで作ったコンテンツの間にズレがないかを確認することです。投稿前に一度、「これは自社らしいか」と自分に問い直すだけで、多くのズレを防げます。
まとめ
AIは下書き係で、仕上げは人間がやる。この役割分担を守れば、広報やSNSの仕事は確実にラクになります。完璧に使いこなそうとしなくても大丈夫です。
ただ、投稿ボタンを押す前の5分だけは、次の3つを習慣にしてみてください。
- 自分の目で読み直す
- 画像を拡大して見る
- 事実が合っているかを資料で確認する
この習慣がつけば、防げるトラブルは思っているより多く防げます。今日の投稿から、たった1つ「投稿前にもう一度読み直す」を始めてみてください。
Q&A
Q1:AIで作った画像は「AI使用」と明記したほうがいいですか?
一律のルールはなく、業界やお客さんの層によって変わります。クリエイティブが価値の中心になっている業種では、明記しておいたほうが信頼を保ちやすいです。一方で、お知らせ用のイラストや背景画像など、装飾的な使い方であれば、毎回明記する必要はありません。迷ったら、お客さんが「だまされた」と感じる可能性があるかどうかを判断軸にすると決めやすくなります。
Q2:AIに事実関係をチェックさせれば安心ですか?
おすすめしません。AIは自分が書いた間違いを、自分でチェックしても気づかないことがよくあります。「この情報は確かですか」と聞くと、自信満々に「正しいです」と返してくることもあります。事実確認は、自社の資料、公式サイト、信頼できる一次情報で行うのが基本です。AIは下書きを作る相棒ですが、校正係ではありません。
Q3:小さな会社ですが、ガイドラインを作るほどではないでしょうか?
きっちりした文書を作る必要はありません。ただ、A4一枚で「投稿前に確認することリスト」を作っておくと、担当者が変わったときに役立ちます。「数字と固有名詞は資料で確認」「画像は拡大して目視」「AI使用の方針」の3行だけでも、立派なガイドラインです。

