この記事でわかること

  • 過去の提案書をNotebookLMに読み込ませて、必要な情報をすぐに引き出す方法がわかる
  • 新人がベテランの提案ノウハウを参照できる仕組みの作り方がわかる
  • ハルシネーションが起きにくい理由と、AIの使い方の心構えがわかる

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「あのとき、どう提案したんだっけ」が一番困る

営業の現場で一番厄介なのは、「確かに似たような案件があったはずなのに、資料が見つからない」という状況です。

フォルダを開いてみると、提案書のファイルがいくつかある。でも、どれが最終版かわからない。開いてみたら別のお客さんへの提案だった。結局、担当者の記憶を頼りに組み立て直す、ということになりがちです。

30人規模の会社だと、こういった営業資料は個人のパソコンや共有フォルダに散らばっていることが多く、「探す」だけで時間が取られてしまいます。ベテランの担当者が「前にこういう案件があって、こう提案したら刺さったよ」と教えてくれれば助かりますが、その人が忙しいときや、異動・退職があったときには頼れません。

そんな状況を変えるきっかけになるのが、NotebookLMです。自社の過去の提案書をアップロードしておくと、「あのときどう提案したか」をAIに聞いて引き出せるようになります。

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何を読み込ませるといいか

読み込ませる資料は、難しく考えなくて大丈夫です。手元にあるPDFや、Wordで作った提案書をそのままアップロードするだけで始められます。ファイルの形式を統一したり、内容を整理したりしてからでないといけない、ということはありません。

たとえば、以下のような資料がそのまま使えます。過去に作った提案書のPDF。見積書と一緒に提出した説明資料。商談後にまとめた覚書やメモ。受注できたときの提案の流れを書き留めたもの。

最初から何十件分も入れる必要はありません。まず1社分、あるいは「うまくいった案件」の資料1件から試してみると、使い勝手がすぐに体感できます。

NotebookLMは1つのノートブックに最大50個のソースを読み込めます(Google Workspaceの有料プランでは最大300個)。案件ごとにノートブックを分けることも、複数の案件をまとめて1つのノートブックに入れることもできます。どちらが使いやすいかは、実際に試しながら決めていければ大丈夫です。

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こんな使い方ができる

資料を読み込ませたら、チャット画面に日本語で話しかけるだけです。むずかしいコマンドは必要ありません。

たとえば、こんな問いかけができます。「製造業向けにコスト削減を提案した資料の要点を教えて」と入力すれば、該当する提案書の内容をまとめて返してくれます。「A社への提案で、先方が懸念していた点はどこだったか」と聞けば、商談後の覚書を参照しながら答えが返ってきます。「似た規模の会社に提案するとき、どんな構成で話を進めたか」という問いにも、過去の資料をもとに答えてくれます。

ここで大事なのは、NotebookLMが出した答えをそのまま使うのではなく、あくまで下書きや参考として受け取るという姿勢です。AIが提示した内容を人間がチェックして、「確かにこの案件ではそう提案したな」と確認しながら使う。AIは下書き係、仕上げは自分、という使い方が、実務ではいちばん安心できます。

NotebookLMはアップロードした資料だけを根拠に回答を生成するため、回答にはどのファイルのどの部分を参照したかが表示されます。「この内容はどこから来ているのか」が確認できるので、一般的なAIに比べてハルシネーション(もっともらしい作り話)が起きにくい構造になっています。自分の資料が根拠になっているぶん、「全然違う話をされた」ということになりにくいのです。

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新人がベテランの引き出しを使えるようになる

これまで、経験の浅い営業担当者がお客さんに提案するとき、頼れるのは先輩や上司の記憶でした。「こういうお客さんにはこう話すといい」「この業界の案件はここを気にされることが多い」という勘どころは、ベテランの頭の中にしかないことが多かったからです。

NotebookLMに過去の提案書が蓄積されていれば、新人が自分で資料を参照できるようになります。先輩が忙しいときでも、「似た案件ではどんな提案をしていたか」を自分で調べる手がかりが手に入ります。

もちろん、AIが出した情報をそのまま商談に持っていくわけにはいきません。資料を参考にしながら、自分の頭で考えて提案を組み立てる必要があります。ただ、「何もわからない状態でゼロから考える」のと、「過去の事例を参照しながら組み立てる」のとでは、出発点がまるで違います。

長年積み上げてきたベテランのノウハウが、個人の記憶の中だけに眠っている状態から、会社として蓄積・参照できる状態に変わっていきます。そういう使い方ができるのが、NotebookLMに営業資料を学ばせる一番の意味だと思います。

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まとめ

まず1件、手元にある提案書をNotebookLMに入れてみてください。

「うまくいった案件」でも、「苦労した案件」でも構いません。ファイルをアップロードして、「この提案の概要を教えて」と入力するだけで、使い勝手が体感できます。

資料が増えるほど、引き出せる情報も増えていきます。最初から完璧に揃えようとしなくていいので、まず1件から始めて、少しずつ蓄積していくやり方が無理なく続けられます。AIに下書きを任せて、判断は自分でする。その役割分担さえ守れば、営業の現場でも安心して使い始められます。

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Q&A

提案書のファイル形式は何が使えますか?

PDFとWordファイルはそのままアップロードできます。GoogleドライブのファイルやGoogleスライドのURLを登録することもできます。テキストファイルにも対応しています。普段使っているファイルをそのまま活用できるので、わざわざ変換する手間はかかりません。手元にある資料をそのまま入れてみるところから始めてみてください。

1つのノートブックに何社分も入れていいですか?それとも分けた方がいいですか?

どちらでも使えますが、最初は「テーマや業種ごとにざっくり分ける」くらいの感覚で十分です。たとえば「製造業向け提案」「サービス業向け提案」のように分けておくと、質問したときに的外れな資料が混じりにくくなります。1つのノートブックに入れすぎると回答の精度が下がることもあるので、資料が増えてきたタイミングで整理していくとよいでしょう。

NotebookLMが出した提案の下書きを、どこまで信用していいですか?

NotebookLMは自分がアップロードした資料だけをもとに回答するため、一般的なAIより信頼性は高いといえます。ただし、「どの資料のどの箇所を参照したか」を必ず確認してから使うことが大切です。AIの出力は参考・たたき台として受け取り、内容の正確さや文脈への適合は自分の目で確かめるようにしてください。AIが下書きを出し、人間が仕上げるという役割分担が、安心して使い続けるコツです。